この本は、とても奥深い内容で、解釈の余地がたくさんあるのですが
僕は、この本は「何事も過程は楽しめるものなのだ」というメッセー
ジを受け取りました。何かが足りないというのは、何かを充足したい
という向上心につながるのでは?と感じました。
読後感がよいのでオススメです 新装 ぼくを探しに 関連情報
倉橋由美子さんの、美学が、この小説によって始まる。
この小説を読むと、倉橋さんの全て、どんな断片的な
文章でも全て拾い集めて読みたくなる。
倉橋由美子中毒に至る、入門書である。
倉橋由美子の毒想、ここに始まる
パルタイ (新潮文庫) 関連情報
読み始める前は、1965年の作品で作品のテーマもタブーとされているものなので、読み辛そうだなぁという
印象があったのですが、いざ読み始めてみると独特の文体や、本当の姿が謎に包まれた「美紀」に惹かれ、そういったことも忘れて
のめりこむことができました。
この時代の日本にもこんな愛の形が確かに存在したこと。それを思うと同時に、それを表現しきった著者に敬服の念を禁じ得ません。
テーマ的にも人を選ぶ作品であることは否めませんが、愛の本質というものについて深く考察できる人、それを好む人にとってはひとつの作品として
完成されたものであると思います。
また、何よりも読んでいて純粋におもしろいと思える作品でした。
聖少女 (新潮文庫) 関連情報
Bildungsromanを教養小説と訳すのは、適切でない。人格形成小説か。それはともかく、城の中の城、シュンポシオン、交歓と書き次がれる桂子さん物語の最初の一冊。話は、倉橋流の清冽な無道徳さに始まり、桂子さんの学生生活、結婚に及ぶ。まだ、後期の文体ではない。しかし、とにかく美しい物語である上に、あとに続く作品の理解には不可欠なので、推薦する。 夢の浮橋 (中公文庫 く 3-2) 関連情報
学生の時以来、何十年ぶりに読み直しました。まず驚いたことは、全く違う小説を読んでいる様な感じに陥ったことです。それだけ、人生の経験を積み、ものの捉え方が深くなったという事かも知れません。それでも、この小説が二人称で書かれた珍しい小説であるという印象は、変わりませんでしたが・・・。読み直してみて、先ず気が付いたのは、この小説がたった3日間を書いているという事です。その間、主人公は失踪した婚約者を探して、鎌倉、つばめ、京都と歩くのですが、探す様子を描いているというより、胸の中にある過去の思い出が描写されていると考えた方が良さそうです。その回想は、モザイクの様に断片が収められています。それは、自我の中に奥深く切り込んでゆきます。その意味では、自己の確立に向けた「青春小説」と言う括りでもいいのかも知れません。タイトルは「暗い旅」で、それは物理的な旅と言うよりも、心理的な旅と言えるでしょう。そして、この旅は決して「暗く」ないように思います。主人公は自殺を考えながらも、「小説」を書く道を選んでいる様に思えます。誰でもが陥るこうした「暗い旅」の青春は、その人を大人にしてくれる「旅」なのでしょう。 暗い旅 (河出文庫) 関連情報