ジャン・ルソー ランキング!

ジャン・ルソー 告白 上 (岩波文庫 青 622-8)

 ルソー(1779年没)の1712年生〜1765年の53年間の幼年、少年、青年、中年、初老に至る自叙伝である(上・中・下)。青年期以前の追想は文学的である。基底に、ある種の哀しさ、切なさが流れている様に思えた。甘くも苦しいというような相反する感情を懐かしく思い出させる。しかし美化に走りすぎることなく、自分の素質、性格、環境、経験等を率直に述べている。中年以降は人間関係に悩むルソーが被害妄想的になっていく様子が覗える。身分は低いが、世に出たい。が、社交下手ということでジレンマに陥っていく。 女性に対するルソーの想いはこの自伝の大きな柱である。当時の恋情を語るルソーには熱がある。しかし、妻テレーズへの愛情はどれ程のものだったのか。嬰児を孤児院に入れたという事実がある。経済的事情が原因だと思われるが、罪悪感無しには出来なかっただろう。ルソーの弁明もあるが、道徳的には避けるべきことだったろう。私も「何故に?」と頭を離れなかった。ルソーとテレーズの苦衷が察せられる。ルソーの思想の偉大性は認められるところである。しかし、この行為の妥当性には疑問符を付けざるを得ない。もしかすると「告白」には記されない秘密があるのかもしれない。「告白」は赤裸々に自己を語っているが、孤児院の件は重要な割りに記述がアッサリしているからである。しかし、淡々と語ることによってしか哭声を抑えることが出来ない痛ましい過去なのかもしれない。理想主義者の一面と生活に苦しみ嬰児を手放すという一面の懸隔がルソーの生涯にはある。生きる上での人間の多面性を考えさせられた。 告白 上 (岩波文庫 青 622-8) 関連情報

ジャン・ルソー 孤独な散歩者の夢想 (岩波文庫)

「告白」の後編にあたる作品。晩年のルソーの姿を知ることが出来る。病的な感すらする。己への過剰なまでの固執。他者への恐怖と嫌悪。近代という時代は、かくも異様な人間から産まれたのか!そう驚かずにはいられない。このような奇妙な人間が、どのような言説を吐き、それが後代にどのような影響を与えたのか。そういう点からは大変興味深く読めるが、残念ながら共感を抱いて読むことはとてもできなかった。唯一、なるほどと思わされたのは、彼の自由観だろうか。「自由とは、自分の欲することを行うことではなく、自分の欲しないことを決して行わないことである」。だがこうした主張もまた、彼の極度の自己執着から生まれているのだ。良くも悪くも己に固執した人間である。 孤独な散歩者の夢想 (岩波文庫) 関連情報

ジャン・ルソー 夕映えのなかで シューベルト、シューマン&ブラームス歌曲集

昨年逝去された吉田秀和氏が晩年に書き綴られた「永遠の故郷」の中で、このCDについて言及されていたことから探して聞いてみましたが、期待に違わない素晴らしいものでした。氏はシューマンの「初めての緑」を取り上げて、ケルナーの詩や伴奏のピアノについても論じていたと思いますが、カサロヴァの歌唱もシューベルト、ブラームス、そしてシューマンそれぞれの世界を、決して過剰になることなくしみじみと聞かせてくれます。 夕映えのなかで シューベルト、シューマン&ブラームス歌曲集 関連情報

ジャン・ルソー アントワーヌとコレット・夜霧の恋人たち〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選2〕 [DVD]

残されし恋には、私たちの恋には ♪あの美しい日々の何が残っているのだろう ♪・・・・・・オープニングで流れる歌がこの映画のすべてを表している。ランデヴーが4月でなくても、小さな村や古い鐘つき堂の思い出はなくても、似たような記憶ならいくらでもあるだろう。そのときに感じた喜びや怒りや悲しみは、時とともにだんだんと色あせて、はかなさと切なさだけが残る。この映画はそうして心に刻まれた想いの集積なのである。いつどこから観ても引き込まれる作品。俳優もみどころ。ジャン・ピエール・レオの無責任な役回りは、いい加減さにしても、若さによる拙さにしても、役と現実のレオの振る舞いが重なるようで目が離せない。デルフィーヌ・セイリグは台詞で美しさの秘密を告白してくれる。クロード・ジャド!手綱の取り方がめちゃ旨い!ファッションはゴダールのようなコントラストの強さはないが、かわいらしく、今でもそのまま通用します。普段の着こなしの参考になること間違いなし! アントワーヌとコレット・夜霧の恋人たち〔フランソワ・トリュフォー監督傑作選2〕 [DVD] 関連情報

ジャン・ルソー ヴィヴァルディ:フルート・ソナタ全集

収録曲の中でも、RV50は、テンポといい、フレーズの歌い方が、大人の世界で、しっとりしていて、こんないい曲があったかと思える演奏だ。全編,短調が多いにもかかわらず、三楽章の歯切れの良さが一際目立っていて、この曲の全体に流れるゆったり感をきりっと締めてくれる。フルートトラヴェルソの良さを十二分に発揮している名演奏といっても過言ではない。 ヴィヴァルディ:フルート・ソナタ全集 関連情報




Loading...


ここを友達に教える