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俺節 5 初荷 (ビッグコミックス)

今、恋人・テレサはそばにいないものの、誰のために歌うか、と問われれば、コージはやはり「テレサのため」と答えるだろう。ロックから転向してきたライバル・羽田清次とのコンテストでの対決を経て、彼は業界でも噂の仕掛人・戊亥辰巳の事務所に籍をおき、デビューに備える日々だ。相棒・オキナワとの別れ、オキナワの暴走、ふたりが直面した危機、そして、一緒にいるとか別々だとかを超越した、大げさにいうと《絆》の再認識（それはコージの、テレサに対する想いにも通ずるものなのだろう）。そんなある日コージに、はじめてのテレビ出演の話―郷里の青森にもネットされる！―が舞い込む……。最初にこのレビューを書いた頃、すでに『俺節』旧コミックス版は絶版状態で、古本屋さんなどにもなかなかなく、それこそ血眼になって探したものだった。運よく見つけられてもたいていは前半までで、後半の巻を読むことですら、置いてあるマンガ喫茶に行くしかないような状態だった。その、比較的見つけやすかった“前半の巻”というのは、どういうわけか、この第５巻までである場合がほとんどで、そうなると、巻の終わりの「引き」がものすごく気になるようなものでは精神衛生上よろしくないわけだけれど、この第５巻は、一段落ついたような感じで終わっているので、そのあたりもひとまず安心、といったところではあった。いずれにしてもこれは、本作が―『定本俺節』として―復刊されることなど、夢のまた夢だった頃のお話である。俺節 5 初荷 (ビッグコミックス) 関連情報