三つの作品の中で、「作家の超然」にがつんとやられた。
小説が好きで好きで、この二十年来ずっと、年上や同世代の作家が「小説とは〜」と語り出すとそばに行って耳を傾けてきた。もちろんその時々の時代の傾向とか、そういうものはあるけれど、「作家の超然」の後半で、手術を終え、退院してきた主人公(作家)がふいに小説を語り出すところは、今までにない、というか、これまで読んだきたどんな小説論よりも腑に落ちるというか……がつんとやられた。
決して楽観的なものではなく、かと言って、わざとらしく悲観的なものでも美しくセンチメンタルなものでもない。胸が痛くなるような文章だけれど、読まずにはいられない、何度も読まされる……それは作者本人が、悩みながら、傷つきながら、自分で掴んだ結論だからだ。そこには、大上段に構えた危機感みたいなものは全くなくて、(そういう「男」っぽさは断じてない) あるのは、作者がどれだけ小説のことを考えてきたか、これからも考えていくのか、という細い道のようなものだ。その道を、歩いていく作者の姿に胸を掴まれるけれど、何ができるわけでもなく、(仮に励ましのメールを送っても「死人のリスト」に入ってしまうだけだし、いや、それ以上のことは書けないし)ただ、(偶然ではあるけれど)自分と同い年のこの作家の、これからの作品を読み続けていきたいと切に思った。
最後の章「文学の終焉」(この章タイトルは、類似の多数のダメダメ論を連想させる……もったいないなあ) から沢山、引用したいけれど、しません。小説の好きな人はぜひ読んでください。
妻の超然 関連情報
お酒が飲めなかった(飲まなかった)歴史上の人物を集めています。
中身については江戸期以前の人物はデータがあまり具体的でなく、飲めなかった(飲まなかった)といってもいまひとつ迫力を感じませんが、歴史も西郷隆盛あたりになると信憑性を感じます。その西郷や山本五十六あたりはどこかで飲めなかった、というのは読んだことはありますが、明治維新期でも大久保利通、大山巌、さらに高島 鞆之助や篠原国幹、村田新八あたりまで飲めなかったというのは薩摩藩のイメージと相当かけ離れていてなかなか面白いものがありました。そう言えば、高島 鞆之助は侍従をしていたころ、宮廷の女官に散々いじめられて相当辛い経験をしたらしく「あの頃のことを思えば何でもできる」と言っていたと司馬遼太郎氏が「飛ぶが如く」で書いていましたが、お酒でも苦労していたのですね(本書を読むと、酒豪の明治天皇の相手が大変だったらしい)。
河野一郎のようにソ連で、無理強いをさせられブランデーでぶっ倒れるなどお酒の飲めない人は、やっぱり大変だなと思う反面、あまり強くない私のような人間にはそれでも事はなされたのだ、と多少心を強くできることがあるのかもしれません。
下戸の逸話事典―歴史を動かした非酒徒たち 関連情報
キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人 (講談社BOX)
人間カンヅメをたくらむ猫。
このネタで面白くないはずはない!
と思って購入したんですが…
読後のモヤモヤ感はなんだろう?
伏線はきちんと回収されているし、謎も残ってない。
それなのに、なんだかスッキリしない。
最後の最後で息切れして、筆が走ってしまった感じがします。
アッサリし過ぎた幕切れで、置いてけぼりを食らった気分です。
猫よろしく、事件を書いたら飽きたのか?
アイデアは文句なしに面白いのですが…
デビュー作ということを考えても、もう少し最後まで粘ってほしかった。
キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人 (講談社BOX) 関連情報
ラジオから偶然聞こえてきた「金魚の箱」が耳に残って離れず、買ったこのCD。
それまでは東京事変はおろか椎名林檎すら聴いた事無し。
すごく良いね、他では聴けない音ばかりで、耳から離れない曲が増えてしまいました。
「酒と下戸」には参りました。
今は旧盤にも興味があります。
娯楽(バラエティ) 関連情報
タイトルを見て、「ああ、自分も下戸だったんだよなぁ」って思い出して買いました。加藤鷹さんも下戸らしいんだけど(それにもビックリ!)、そのインタビューの内容が結構かっこよかったな。「酒を飲ませるのも甘え、酒を拒絶するのも甘え」っていうのは、かっこいい発言だと思った。インタビューあり、偉人下戸の紹介あり、と盛りだくさんで楽しかったです。 下戸でも自信が持てる本―酒の飲めない人生はこんなに楽しい! 関連情報